業務アプリとは、企業の業務効率化を図るために導入するアプリです。近年では、少子高齢化や慢性的な人手不足への課題やリモートワークの促進で働き方も大きく変化しているため、多くの企業が業務の効率化を重視しDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。そのため、さまざまな業務を効率化するための業務アプリの活用が注目されています。
業務アプリは、どのような業務を効率化するのかによって、いくつかの種類に分けられます。業界・業種によって様々な種類がありますが、今日はその中でもよく使われている5つの業務アプリをご紹介します。
生産管理アプリは原材料や資材の購入、納期などを管理し、生産を計画的に進めやすくするためのアプリです。生産管理にアプリを利用することで、製品の需要量を予測し、販売見込み量に合わせて生産することができます。
余剰在庫や欠品の発生リスクが下がり、安定した運用ができるのもメリットです。
販売管理アプリは商品やサービスの販売を管理します。名称やコード、価格などを管理することで、従業員の手入力業務が減り、ミスの削減が可能です。
また、販売管理アプリ上のデータを使って見積書や請求書の発行も可能になるため、請求漏れや送付ミスも削減できます。
倉庫内の在庫数を管理し、重要に応じて生産できるように管理するアプリです。在庫が多すぎると製品管理コストがかかりますし、少なすぎると欠品のリスクがあるので、適切な在庫数になるように管理します。
在庫管理アプリでは商品のバーコードやQRコードを使い、入庫・出庫の管理も可能です。
受注管理アプリでは、顧客からの受注業務を効率化することができます。顧客からの注文を確定し、出荷管理をしているアプリに繋げることができます。注文確認メールや発送時のメールを送信する際も受注管理アプリを使います。
また、受注をリアルタイムで確認できるので、すぐに在庫量の調整ができ、適正な在庫量の維持に繋がります。
情報管理アプリは特定領域の業務に対応したものではなく、従業員同士や取引先とのやり取りを円滑化するためのアプリです。例えば、従業員同士の知見やノウハウといった情報を共有するアプリ、日々の業務報告を行うための日報アプリなどがこれに該当します。
モバイル端末から利用できることで、スムーズに情報の共有ができたり、外出先から報告ができることがメリットです。
業務アプリを導入することによって下記のようなメリットがあります。
業務の作業工数を削減することで業務の効率化を図ることが出来ます。棚卸しを例にすると、今まで倉庫でカウントしたものを紙にメモし、後でExcelに入力するなどの倉庫から事務所へ移動をして作業する必要がありましたが、業務アプリを使えば、倉庫でカウントした数字を手持ちのスマホからその場でアプリに入力できます。登録したデータはクラウドで保存され、Excelに転記する作業は不要となります。そのため、転記による人為的ミスも減るうえ、作業工数を削減することができます。
業務アプリを利用することで、今まで紙などのアナログな手法で管理していた情報をデジタルデータで扱うことができます。デジタルデータで管理をすることで情報の紛失リスクを下げられ、検索しやすくなる点もメリットです。また、データ化することでリアルタイムな情報共有が可能になり、素早い状況把握が実現できます。あわせて保存のための場所を取らないので、データの蓄積にも適しています。
多くのデータが蓄積されることで、データの分析がしやすくなり、マーケティングや生産の計画などが立てやすくなります。
例えば、感覚的にある時期に売れる商品だと感じていたものが、売り上げ数を長期的に見ることでいつ、どれくらい多く売れているのかがわかるようになります。
業務アプリを活用し、アナログ業務をデジタル化することで得られるメリットは以下の記事でもご紹介しています。
業務アプリを活用することで、業務プロセスを簡略化及び統一化することができ、業務を標準化しやすい環境を整えることができます。属人化しやすい環境は、業務プロセス自体が多い、紙やExcelを使ったアナログ業務が多いという特徴が挙げられます。このような状態は、無駄なプロセスが存在していたり、人によるやり方の違いが生まれる原因になりやすいです。
一方、業務を標準化しやすい環境とは、無駄な業務プロセスが少なく、アナログ業務が少ない状態とも言えます。この状態は、人によるやり方の違いが生まれにくく、必要なマニュアル自体のボリュームも最小限となり、引き継ぎもスムーズに行えるようになります。業務アプリなら、紙の資料では伝わりにくい業務も、保有しているスマホの機能を使って動画を撮影し、アプリからすぐに登録・共有することもできるため、業務の理解度が上がる他、紙の資料を持ち運ぶ必要がなく、マニュアルの更新も外出先から行うことが可能です。
基本的な部分を業務アプリの活用によって効率化する事ができれば、専門的な部分のマニュアル化に注力できるため、より業務を標準化しやすくなると言えるでしょう。
また、マニュアルが必要な場合も、いつでもどこでもマニュアルや必要なデータにアクセスできるような環境を構築する事ができます。
業務アプリを導入する際は、次の2つのパターンがあります。それぞれのメリットやデメリットをご紹介します。
開発業者が販売している既存の業務アプリを導入する方法です。
メリット
デメリット
既存の業務アプリは導入のための期間やコストが抑えられる点がメリットです。無料トライアルがある場合は、実際に自社の業務に合うか操作性などを確認することができます。
しかし、カスタマイズが困難なので、自社の業務フローに合っていないと運用を続けられないことがあります。
自社に合った業務アプリを開発する方法もあります。
パッケージ開発と言われるような型を利用せずに、オリジナルのアプリを開発することを「スクラッチ開発」と呼びます。
メリット
デメリット
自社の業務や特性に合わせたアプリを開発できるので、運用しやすいのがメリットです。
業務アプリの内容によっては、開発費用も時間もかかる場合がありますが、アプリ開発会社に発注する場合と、ノーコードツールなどを利用して自社で開発する場合で差があります。
アプリ制作にかかる期間や費用については、こちらの記事からご確認ください。
ノーコード開発とは、プログラミング言語でソースコードを書くことなく開発を行うことです。事前に用意されている「機能」や「テンプレート」を組み合わせて開発をすることができます。
メリット
デメリット
プログラミングができないメンバーでも簡単に開発することができるのが強みです。半面、高度な開発はツールによって難しい場合もあるため、やりたいことが決まっている場合にはツールの選定時に注意が必要です。
また、スクラッチ開発とノーコード開発どちらにすべきか迷われている方向けにより詳しく解説した資料をご用意していますのでご覧ください。
業務アプリを自社で作成する際は、以下のような点に注意して作成してください。
どのような業務アプリを使い、どのような業務を効率化したいのか、アプリの導入目的を明確にしてから作成を始めます。
特に実際にアプリを利用する現場の意見を確認しておくことが重要です。アプリを作成する担当者が良いと思った機能が現場の業務フローに馴染まない例は多くあります。業務の状況をよく知る人と共に、現場が使いやすいと感じる機能や操作性になるよう、イメージを固めておくと良いでしょう。
業務をサポートしてくれるツールとして長く使い続けるには、継続的にアプリの修正や改善が必要です。例えば、業務フローや業務内で扱う情報が変更になった際に、業務に合わせてアプリの修正をしたりカスタマイズできるものが使いやすい業務アプリになります。
また、作成後、運用しているうちにアプリの改善点が見えてきたときも、対応できるアプリが良いでしょう。
業務アプリを自社で作成する際、ノーコード開発ならアプリ作成に関する専門知識のない人でもアプリを作ることができるので、現場に即した業務アプリの作成が可能です。
ノーコードアプリ作成ツールの「Platio(プラティオ)」ではプログラミング経験のない現場のメンバーでも簡単にアプリを作成できます。また月額2万円~利用が可能で、無料トライアルも実施しているため、導入を迷っている方でも手軽に始められるツールです。
ここでは、実際に「Platio」を使ってアプリを作成した事例をもとに、導入担当者が抱えている課題と導入効果をご紹介します。
京セラ株式会社では、毎日、紙のリストを使って在庫の棚卸をしていました。紙の受け渡しのために、巨大な倉庫を移動したり、リストの目視でのチェックは時間がかかります。さらに、目視でのチェックのため人為的ミスが発生してしまうことも課題でした。
そこで、ノーコードで棚卸アプリを作成し、アプリを通じて倉庫内のどこからでも棚卸結果を入力できるようにしました。紙のリストの受け渡し時間がなくなり、棚卸結果は自動的にチェックされる仕組みなので業務の時間短縮と人為的ミスの削減が実現しました。
ITに不慣れな現場でも、アプリならすぐに作成・運用ができ、業務改善までの時間が短かいこともポイントです。
この事例についての詳細は、こちらからご確認ください。
製造業における業務アプリを自社で作成し活用している事例は以下でもご紹介しています。
岡山県を中心に設備・土木関係の事業を展開している東備建設株式会社では、毎日義務付けられている重機の点検を紙のリストを使って行っていました。この用紙は月に1度回収しており、記入漏れ等に気づきにくいのが課題でした。また、回収までに用紙紛失のリスクがあるうえ、点検用紙を回収するために丸一日かけて工事現場を回っていました。
そこで、点検報告アプリを導入し、リアルタイムに点検報告を受けられるようにしました。未報告の場合は電話連絡を入れるようにしたことで、記入漏れがなくなりました。また、用紙回収の手間がなくなり、保管や管理業務も削減できています。アプリは点検のみを目的としているので、シンプルで現場担当者も使いやすいのがポイントです。
この事例についての詳細は、こちらからご確認ください。
北海道でホテルやレストランを経営する鶴雅リゾート株式会社では、DXに積極的に取り組みチャットツールを利用したリアルタイムな業務報告の仕組みを構築していました。しかし、チャットでは報告内容が流れてしまい、タスクの確認漏れなどのトラブルや、データの蓄積ができず設備管理の記録が残らない点が課題でした。
そこで、温泉の湯温管理や布団敷きのタイミングを通知する6つの業務アプリを導入し、項目ごとに整理されたデータをリアルタイムに共有できるようになりました。通知により重要な報告の見逃しもなくなり、顧客満足度がアップするなどの効果が見られています。また、過去の設備の修繕記録が蓄積されるようになったことで、長期的な修繕計画が立てやすくなっています。
この事例についての詳細は、こちらからご確認ください。
創業150年を超える百貨店の株式会社松屋では、食品表示シールの記載ミス削減や履歴管理のデータ化を課題としていました。また、衛生管理者が売場に赴かないと記載内容の確認や修正が行えない点も改善したいと考えていました。
そこで、食品衛生管理アプリを導入し、売場担当者が食品表示シールを撮影・共有すると、衛生管理者に通知が届きどこからでも内容をチェックできるようにしました。記載ミスがあればアプリ上で修正指示ができるため、業務全体のスピードアップに繋がりました。
この事例についての詳細は、こちらからご確認ください。
ここまで説明してきたような業務アプリの導入によって、企業の業務効率化を圧倒的に進めることが出来ます。普段の業務の中で管理・作業などに無駄な時間がかかっている場合には導入の検討がおすすめです。検討にあたっては、アプリの完成形がイメージできているか、プログラミングができるメンバーがいるか、実際に使う人にとって使いやすいアプリであるかなど、様々な注意点があります。
プログラミングをせずにアプリを作るノーコードツールなども検討しながら自社の業務アプリを作成し、現場が使いやすいアプリを導入しましょう。
また何ができるのかツールの強みだけではなく、実際の導入事例を参考にし、どのように業務アプリを作成・活用されているのか確認するのもおすすめです。
ご紹介させていただいたノーコードアプリ作成ツール「Platio」の導入事例や現場での活用方法について、詳しくは下記のページをご確認ください。