物流業界で昨今話題の「ラストワンマイル」とはどのような意味なのでしょうか?業界での使われ方やその重要性についてご紹介します。
ラストワンマイルとは最後の1マイルというような、距離的な意味ではありません。最寄りの配達事業所から、荷物が最終的に消費者の手元に届く区間を指します。もともとは通信業界で使われていた言葉ですが、今では物流業界や交通業界でも多く使われるようになりました。物流業界においては、消費者の手元に届くまでの区間であるため、顧客との最終的な接点ともいえます。
ライフスタイルの多様化やネットショッピングの増加に伴い、ラストワンマイルがより重要視されています。最近では購入した商品を好きな時に受け取れるということが当たり前となっています。そのため各企業は商品による差別化だけではなく、送料無料や当日配送など、欲しい商品が「より早く」「より安く」手元に届くよう、物流サービスによる差別化に取り組んでいます。そしてその実現のためには、ラストワンマイルの効率化とコスト削減が必須となります。
ラストワンマイルには、さまざまな課題があります。物流の課題と解決に向けたサービスについてご紹介します。
ネットショッピングの増加に伴って配達物が増え続けているのに対し、配達ドライバーが不足しているというのが最も深刻な問題です。2020年からはコロナ禍の影響もあり、ネットショッピングや通販の需要はさらに増加傾向にあります。配送料の削減、荷待ち・再配達などによる長時間労働など、ドライバーへの待遇が原因で、新たにドライバーになりたいという人も減少している状態です。そのため 1人当たりが担当する配達物や再配達がさらに増加し、ドライバーの負担が増えるといった悪循環に陥っています。
特にECサイトでは、容易に製品比較ができるため、消費者は同じ商品を購入する際に「送料無料」を選定ポイントの1つに加えています。少しでもお得に購入したいと思うのが消費者心理ではないでしょうか?
ゆえに、ECサイトにおいて多くの運営者は、売上を上げるために送料無料を施策として行っています。しかし、送料無料にする分、運送会社へ配送価格の 見直しが測られることもあるでしょう。値下げが行われれば、その分運送会社の利益率が低下してしまいます。
宅配便の再配達を無料でサービスしている運送会社が多いため、消費者はわざわざ時間指定を行って在宅していなくても、気軽に無料の再配達サービスを受けられます。しかし、再配達サービスは、ドライバーの長時間労働の原因のひとつです。再配達や不在時の対応を無料サービスとして行うことによって、ドライバーの労力や人件費に負担が掛かり、運送会社のコスト高騰に繋がってしまいます。
国土交通省が発表した宅配便の再配達率のサンプル調査の結果によると、令和3年10月の宅配便再配達率は約11.9%と増加傾向にあります。国土交通省では、ドライバーの人手不足が深刻化しているため、再配達の削減を図ることを推進していますが、まだまだ減少には至っていないのが現状です。
各運送会社やECサイトでは、荷物の再配達をできるだけ防ぐため、以下のようなラストワンマイルサービスを提供しています。
ラストワンマイルが抱えるさまざまな課題が分かったところで、「配送の効率化」「倉庫業務の効率化」の視点から解決策をご紹介します。
販売戦略として、配送サービス強化のニーズが高まっていますが、人材不足や人件費の高騰によって実現できていないのが現状です。現在、各運送会社がそれぞれに配達をし、どの運送会社もラストワンマイルが抱える課題に直面しています。そこで、物流全体の大改革となりますが、運送会社同士が連携し、複数企業の出荷した商品を同じトラックやコンテナなどに積んで輸送する「共同配送」の実現が求められています。できるだけ同じエリアは同じ運送会社が担当するなど、集約化や共同化を図れば無駄が省け、業務は効率化できるでしょう。
よりスムーズに配送するために、アナログな業務の システム化でコスト削減が可能です。例えば、現場の業務をオンライン上で管理することで、積載率、荷物状況、要員配置などの現場の状況をリアルタイムに把握することが可能になります。現場の状況をデータとして蓄積することで、人員や荷物の最適化を図ることができコスト削減につながります。
ラストワンマイルの手前の業務にあたる物流倉庫の作業の効率化に目を向けてみるのも良いでしょう。物流倉庫の現場には、基幹システムでは対応できない細かいアナログ業務が多く残されています。
現場のコスト削減には、アナログ業務による「無駄な作業」をいかに効率化できるかがポイントになります。
例えば、紙を利用した入出荷管理では、管理の手間や迅速なデータ活用が難しく、人為的ミスも発生しやすいです。その他、報告をするために倉庫と事務所の移動をするため時間と手間がかかります。
このようなアナログ業務には、チェックや報告業務も「その場」で完結できる「業務アプリ」の活用がおすすめです。
配送管理アプリやシステムは、作業効率化やコスト削減などが期待できるため、導入企業は増えています。しかし、選び方が分からないという方のために、選定ポイントをご紹介します。
クラウド型は、サービス提供事業者が管理・運営するサーバーやネットワークなどのリソースを利用して、インターネット経由でシステムを構築・利用する仕組みです。オンプレミス型とは、自社でサーバーやソフトウェアなどシステム構築に必要なハードウェアを調達し、自社でシステムを開発・運用する仕組みです。サーバー構築が不要なことを考えると、クラウド型は比較的簡単に導入が可能です。
アプリやシステムを導入する場合、1からシステムを作る「スクラッチ開発」、すでに出来上がった機能を組み合わせてオリジナルのシステムを作る「ノーコード開発」、既製品の「パッケージ商品」のどれかを選択することになります。
それぞれ、メリットやデメリットがありますので、詳しくは下記 の記事をご参考ください。
ここでは、近年のIT人材不足の解決策として注目されている「ノーコード開発」についてご紹介します。「ノーコード開発」とは、ドラック アンド ドロップの操作で機能を組み合わせ、アプリやシステムを作成する開発方法です。
専門知識は不要なため、非エンジニアである現場のスタッフでも現場の運用に合わせた業務アプリを作成できます。IT人材を確保できない場合や、開発費・導入コストを抑えたい企業にもおすすめです。
また、アナログ業務が多い現場だからこそ、現場の仕事を深く知る従業員が自ら開発できるので、運用しやすく、修正も簡単にできるので後からの現場のリクエストにも柔軟に対応できる点もメリットです。
ドライバーが現場で使うことを考えると、出先から見ることができるスマホなどの端末がベストです。日常的に使うスマホアプリのように、直感的でわかりやすいアプリであれば、ドライバーの負担にならず、ITスキルの低い社員でも難なく使いこなせるでしょう。
アプリやシステムは、実際に利用する企業によって、必要な内容が異なります。導入前は自社に合っているかどうかを検討し、導入後は現場の意見を取り入れて改善していくことが必要です。社員やドライバーによって使いやすいか、自社の内容を網羅しているか、改善しやすいかなどもアプリやシステム選びのポイントになります。
配送管理アプリやシステムを選ぶ際 は、基幹システムや現在利用中のシステムと連携できるかどうかも大切なポイントになります。
ノーコードツールを利用して、自社の業務に合ったアプリを自分で作るのもおすすめです。ここでは、モバイルアプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」で、「配送管理アプリ」を作成し、業務効率化を実現した事例をご紹介します。
大型家電を中心に扱う株式会社コネクストは、入荷済みの商品を保管せずに仕分けて出荷する物流センターを迅速に立ち上げる必要がありました。しかし、既存の基幹システムだけでは現場の要望に答えることが困難でした。コストや工数面からも、新機能を一から開発するのも難しいという状況でした。そこでPlatioを導入して「入出荷管理アプリ」を3日で作成し、基幹システムと連携させることで現場のデジタル化を低コストかつ短期間で実現しました。
詳しい導入事例はこちらから
今回はラストワンマイルの現状や課題についてご紹介しました。
物流におけるラストワンマイルには、以下のような課題があります。
これらの課題を改善するために、以下のポイントを押さえておくことをおすすめします。
物流サービスのコスト削減には、配送コスト以外にも、紙によるアナログ業務をシステム化し、業務効率化するという点も重要です。
配送管理アプリ・システムの導入を検討しているのであれば、「ノーコードツール」も選択肢の1つに加えてみてはいかがでしょうか?
自社の業務に合ったアプリをノーコードで作成できるPlatio(プラティオ)は、月額2万円〜と低コストで導入できるうえに、専門的な知識が必要なく、現場の業務に合わせたアプリが短時間で作成・活用できます。現場の業務効率化やコスト削減にぜひお役立てください。
京セラ様では、Platioで棚卸アプリを1日かからずに作成、運用を開始しています。本動画では、事例紹介と実際のアプリ作成を5分でコンパクトにまとめて紹介します。
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