モノを輸送したり、倉庫に保管・管理するといった費用を「物流コスト」といいます。物流コストには主に、以下のように分類されています。
利益を出すためには、これらのコストをどのように抑えるかが鍵となります。しかし、物流コストを削減するのはとても難しいと言われているのです。その理由には次のようなものが挙げられます。
物流コストを抑えるのが難しい理由のひとつに、内訳が見えづらいというのがあります。どこにどれだけのお金が使われているのかが分かりづらいということがネックとなっています。
物流というと輸送費だけを考えがちですが、人件費や保管費、設備費や作業費など、様々な部分にコストがかかっています。その範囲が広すぎて、全体の把握が困難になっているのです。規模が大きくなればなるほど、お金の流れを把握できている人は少なくなります。知らず知らずのうちに、必要ない部分にコストがかかっていたというケースも少なくありません。
人間の手によって作業をしている以上、必ずヒューマンエラーは発生します。些細なミスでも、積み重ねれば莫大なコストがかかります。重大なミスともなれば、状況を改善・修復するために多額のコストを必要とします。
国内では少子高齢化が原因で、様々な業種で人手不足に陥っています。物流業はキツイというイメージがあることもあり、職に就く人が減少傾向にあります。さらに働き方改革関連法で定められた労働時間の制限により、収入が激減した人も少なくありません。その結果、退職・転職者が増えたことで人手不足が加速し人件費が高騰しているのです。
人材が不足しているのに対して、物流の需要が急激に高まっています。2020年以前であれば、買い物は店舗まで足を運ぶのが普通でした。しかし、コロナが流行後はインターネットショッピング利用者が急増しました。商品を購入者の自宅まで届ける機会が増加し、需要と供給のバランスが崩れたことが、物流の単価を上げる原因となっています。
このように法改正をきっかけに物流業界で起きうる問題を総称して「2024年問題」と呼ばれています。2024年問題については以下の記事で詳しく解説しています。
物流コストを削減するには、どんな部分にコストがかかっているかを正確に把握する必要があります。「運送費」「保管費」「荷役費」「管理費」「人件費」といった5つのコストについて説明します。
輸送費は商品を運ぶために使われる費用のことをいいます。代表的なものにはトラックやチャーター機が挙げられます。他にも距離によっては宅配便や航空便といったサービスを利用することがあります。
輸送費には主に、以下のようなものがあります。
輸送費は物流コストの中でも把握しやすく、コスト削減がしやすい項目といえます。
商品を一時的に保管するためにかかる費用のことをいいます。主に倉庫の賃貸料、維持費、管理費、保険料が保管料となります。
自社で倉庫を用意するか外部に委託するかによって、保管料に違いが生じます。外部に委託する場合、利用料や作業量、入出庫にもコストがかかります。
倉庫の保管料には「寄託保管料」と「坪貸し保管料」の2種類あります。寄託保管とは必要な時に必要な期間だけ保管できる点がメリットです。一方、坪貸し保管料は、事前に保管する量が分かっており、必要なスペースを確保したい場合に坪数分だけ借りる方法です
物流が安定し、長期的に借りるのであれば坪貸し保管料が最適です。短期的に少ない商品を保管するのであれば寄託保管を選ぶなど、自社にあった契約方法を選ぶことでコスト削減に繫がります。
倉庫や物流センターから荷物や商品の入出庫等をする際にかかる費用をいいます。荷役費には主に、以下のようなものがかかります。
荷役費は「作業時間:1時間あたり○○円」、「作業量:商品1個あたり○○円」の2種類で計算されます。
物流システムや受発注システムなどの導入・運用費をいいます。商品や荷物の詳細や個数、出荷からいつまでに届くのか、現在はどこにあるのかなど、物流の流れを一元管理するシステムを運用するために費用がかかります。
作業員や営業担当、システムを維持・管理するために必要な人材にかかる費用です。
物流コストがどこにかかっているかを把握した後に、実際にコスト削減に動き出すことになります。しかし、闇雲に人件費等を削るだけでは、人材不足の加速やシステム管理に不備が出るといった自体を引き起こしかねません。以下ではそのような事態を回避しつつ、効率的に物流コストを削減するためのポイントを解説します。
ヒューマンエラーに対応する方法として、業務の自動化が挙げられます。人間が携わっている以上、どれだけ注意していても人為的ミスは起きてしまいます。状況の修復や改善などに人材や費用が使われることでコストがかかってしまいます。業務の自動化により、作業の効率化だけでなくヒューマンエラーを防止することができ、業務効率化にも繋がります。
ヒューマンエラーのようなうっかり不注意で生じるミスはポカミスとも呼ばれます。ポカミスを予防するためには、発生する原因を理解したうえで適切に対策を施しましょう。
倉庫の運用を見直すことで、保管費用や余剰在庫削減に繫がります。商品や荷物の量を正確に把握しておらず、曖昧な予想で大きめな倉庫を借りてしまうケースが少なくありません。
大きめな倉庫を借りることで、保管に余裕ができるため安心と考えがちですが、実際にはムダな保管費が発生しているだけです。また、商品が多めに保管できるということは、余剰在庫を生む原因になります。保管費や余剰在庫削減のために、正しい倉庫運用がコスト削減に繫がります。
在庫管理を効率化する具体的な方法として、バーコード・QRコードを活用した管理方法があります。ただし、これらを取り入れようとすると、読み取り専用機器を準備する必要があり、どうしてもコストがかかります。そこで、専用機器を準備する必要のない「業務アプリ」を選ぶことで、端末代やシステム導入などのコストを抑えることが可能です。詳しくは以下の記事でご紹介しています。
※当社サイトその他カタログ、マニュアル等に記載されている「QRコード」はデンソーウェーブの登録商標です。
自社の状況にあったシステムの導入は、管理費・人件費の削減に効果的です。基幹システムでは拾えない細かいアナログ業務をデジタル化することが物流コスト削減の近道といえます。
基幹システムとの連携ができれば、さらに効率化が見込めるでしょう。現場には細かくて煩雑な業務が多く残っています。アナログ業務が多ければ、それだけヒューマンエラーが起きる確率も高くなります。
非効率的なアナログ作業をデジタル化することで、効率的に作業ができる上にコスト削減にも繫がります。しかし、デジタル化を導入しても、わざわざPCの前に行ったり来たりするのでは意味がありません。そこで、立ち仕事や移動作業の多い現場では、オフライン環境の多い倉庫でも利用できる「モバイルアプリ」がおすすめです。
モバイルで利用できる業務アプリの導入メリットや導入時の注意点については以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
業務プロセスのPDCAを繰り返し、改善活動を継続的に実施することで、物流コスト削減への意識が高まり、業務改善の提案力が向上します。同時に取り組みを継続維持する仕組みを作ることで、生産性や精度を維持することが可能です。コスト削減意識を高めておくことで、物流コスト削減への取組みや新規業務への対応の際にも役立ちます。
一般的な業務プロセス改善の進め方や事例は以下の記事でご紹介しています。
物流機器&システムの導入は物流コスト削減だけでなく、いろいろな付加価値や相乗効果が見込まれます。しかし、高価な物流機器を次々に導入して負の遺産を抱えてしまっている企業もありますし、荷主との契約が切れて、物流機器のみが残ってしまった企業もあります。費用対効果、付加価値、機器やシステムの柔軟性、保守費用、自社の企業文化などから、システムの選択・導入するのがお勧めです。既存のシステムを活用することも一手ではありますが、自社の特性や運用に合わせてシステムを作るのもおすすめです。
自社専用システムの作成は高額なイメージがありますが、最近では「ノーコード開発」という既に出来上がった機能を組み合わせて自社の運用に合わせたツールを作成する方法もあります。モバイルアプリ作成ツール Platio(プラティオ)なら、100種類以上のテンプレートを選ぶだけで、プログラムの知識や技術がなくても自社の業務に合わせたアプリを自分達で作成できます。また、月額2万円から導入できるのでスモールスタートからまずは試してみたいという場合にも最適です。
自社アプリを作成できるPlatioを活用して、業務効率化を実現した事例をご紹介します。
大型家電を中心に扱う株式会社コネクストは、入荷済みの商品を保管せずに仕分けて出荷する物流センターを迅速に立ち上げる必要がありました。しかし、既存の基幹システムだけでは現場の要望に答えることが困難でした。コストや工数面からも、新機能を一から開発するのも難しいという状況でした。
そこでPlatioを導入して「入出荷管理アプリ」を3日で作成し、基幹システムと連携させることで現場のデジタル化を低コストかつ短期間で実現しました。
詳しい導入事例はこちらから
京セラ株式会社の物流倉庫では、紙を使ったアナログな方法で毎日在庫の棚卸しをしていました。棚卸しリストの受け渡しには巨大な倉庫内を行き来する必要があること、目視でのチェックではヒューマンエラーが発生することなどが課題でした。
しかし、新たにシステムやアプリを導入すると多大なコストがかかってしまいます。そこで、Platioを導入することで、プログラム等の知識がなくても現場に合わせたアプリを低コストで作成・運用が可能になりました。
詳しい導入事例はこちらから
株式会社クラシックでは、効率的に冷蔵倉庫を活用するためにチャットで占有率などを共有していました。しかし、チャットでは時間が経つほど情報が流れてしまい、欲しい情報を見つけるのに時間がかかっていました。
そこでPlatioを導入して、冷蔵倉庫の占有率や稼働状況を手軽に確認できる「冷蔵倉庫状況確認アプリ」を2時間もかからず作成しました。冷蔵庫内の写真や動画を添付して情報を共有したり、稼働率が高くなった際にプッシュ通知が送られるなどの機能をつけることで、効率的な利用が可能となりました。
詳しい導入事例はこちらから
法人向けの中距離輸送事業を行っている洛西貨物自動車様では、一部の取り引きでは積込や納品時に対面での貨物の受け渡しを省略し、置き配形式で指定場所へ貨物を届けています。しかし対面でのやり取りがない分、後に配送状況や配送個数といった問い合わせが多く、対応に苦労していました。
そこで、Platioで「配送記録アプリ」を作成し、配送予定や積込、納品の様子を写真で窓口担当者や荷主へ共有。配送状況がリアルタイムで共有されたことで問い合わせがほぼ無くなり、写真を証跡として利用することでトラブル予防にもつなげています。
また、「配送記録アプリ」は同様の課題を持つ運輸業でも活用できるよう、「ぴくラビ」という名称でサービス化しています。
詳しい導入事例はこちらから
今回は物流コストの削減が難しい理由や、コスト削減のポイントをご紹介しました。
物流業界でコスト削減が難しいとされているのには、以下のような理由があります。
これらの課題を改善するために、以下のポイントを押さえておくことをおすすめします。
中でも自社の状況に合わせたシステムを使うことで、管理・維持がしやすくなりコスト削減に繋がります。しかし、高価な機器を導入したものの荷主との契約が切れてしまい、ムダなコストをかけてしまうというケースも少なくありません。
Platioであれば月額2万円〜と低コストで導入できる上に、100種類以上のテンプレートから選ぶだけで、専門的な知識がなくても現場の業務に合わせたアプリを短時間で作成・運用できます。
物流コスト削減のために基幹システムやアプリの導入を考えているのであれば、低コストで手軽に自社独自のアプリを作成できるPlatioの利用がおすすめです。
現場で使えるアプリの作成や現場のDX化に向けて下記ページも参考にしてみてください。