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スプレッドシートがすぐにアプリに!話題の「Honeycode」はノーコードでアプリを作成できるツール

まえがき

2020年頃から、プログラミング不要でアプリを作ることができる「ノーコードツール」が注目されています 。昨今の、IT人材不足やDX推進の流れで需要も高まっており、素早くアプリを完成できるという点で「ノーコード」が活躍しています。その潮流に乗るように、大手企業もノーコードツールをローンチし始めています。

本記事ではHoneycodeの概要や使用方法を紹介、また、実際にアプリを作成してみた印象について、レポートしていきます。

1. Honeycodeについて紹介

Honeycodeは、Amazonがアマゾンウェブサービス(AWS)の1つとして2020年6月に公開したノーコードツールです。アプリを作るために必要なサーバー環境はすべて用意されているフルマネージドサービスなので、利用者はブラウザとインターネット環境さえあれば、Honeycodeを使ってモバイルもしくはWEBで動くビジネス向けのアプリを作成できます。

【料金】

無料でユーザー数20人までのアプリなら何個でも作成できますが、Workbook(後述します)のデータサイズが2,500行までという制限があります。それ以上のデータサイズやユーザーの人数が必要な場合は、月額19.99$のPLUSもしくは29.99$のPROといった有料プランが用意されています。それぞれのプランについて詳しく説明します。

BASIC

BASICは、月額料金0円の無料プランです。有料プランでは、追加料金を支払えば共有人数が追加できますが、BASICでは追加ができないので注意しましょう。20人以下の小規模なチームには、BASICが向いています。

  • Workbookのデータサイズ…2,500行
  • ワークブック数…無制限
  • Amazon AppFlowまたは APIsの利用…可
  • 人数:最大20名(人数の追加…不可)

PLUS

PLUSは月額料金が19.99$です。その他の条件は以下のとおりとなります。

  • Workbookのデータサイズ…10,000行
  • ワークブック数…無制限
  • Zapier、Amazon AppFowまたは APIsの利用…可
  • 人数:20名(人数の追加の追加…1人あたり9.99$)
  • IAM Identity Centerの利用…可

PRO

PROは月額料金が29.99$です。その他の条件は以下のとおりとなります。

  • Workbookのデータサイズ…100,000行
  • ワークブック数…無制限
  • Zapier、Amazon AppFlowまたは APIsの利用…可
  • 人数:20名(人数の追加の追加…1人あたり29.99$)
  • IAM Identity Centerの利用…可

【日本語対応】

2020年12月20日の時点では、まだベータ版の段階で、日本語対応はしていません。ただし日本語データの入力は可能です。

【Honeycodeのビジョン】

Honeycodeも他のノーコードツールと同様、コードを記述しなくてもアプリケーションを構築することができるサービスですが、これをリリースした背景にはどのような動機があるのでしょうか?AWSのバイスプレジデントLarry AugustinがHoneycodeについて語った動画を見ると、次のような点をビジョンとしているようです。

現状の企業が抱える業務課題として、「独自性がある業務に対し、ツールが対応していない」ということが挙げられる。その課題に対してHoneycodeは、「チームの生産性に対する課題を解決するため、ユーザーに独自アプリを作る力を与えること」を目指している。

彼は動画において更に具体的に、「スプレッドシートを手動更新することで業務を進めていくやり方は非効率で、それはカスタムアプリケーションに置き換えていくべきである。だが、アプリを開発できるエンジニアが不足しているのが問題だ」とも述べています。

ノーコードツールの意義と必要性についての認識は、DXの推進による業務効率化が急務なのに、ITエンジニア不足が叫ばれているという日本の状況とも重なるといえるでしょう。

2. ユーザーインターフェースがすべて刷新

Honeycodeは、2020年6月に公開されました。2022年4月には、ユーザーインターフェースがすべて刷新されています。今までの形式と刷新された内容について解説します。

今までの形式

刷新前は、Honeycodeの主要要素である「テーブル」「スクリーン」「オートメーション」はサイドバーで管理していました。コンポーネントを上手に組み合わせることによって、アプリケーションを作成するという形式でした。

刷新された内容

刷新後は、テンプレート選択画面がカテゴライズされ、色分けもされて大変見やすくなりました。編集画面では、テーブルやオートメーションなどが表示されることはなく、刷新前よりも操作性や設定方法が大きく異なっています。

今まで作成したアプリケーションはどうなる?

従来作成していたアプリケーションは、Classicとして管理されています。旧版のアプリケーションは、引き続き旧UIで編集可能です。新規アプリケーションを作成する際は、クラシックビルダーを使って構築することができるようになっています。

3. Honeycodeを使ってみた
~全体的な作成の流れと作りやすさ検証

Honeycodeでアプリを作りはじめる前に、皆さんにまず理解しておいてほしいことを2点ほどお伝えします。

① 「Workbook中心」にアプリを作成する

Honeycodeの中心となるのはWorkbookと呼ばれるスプレッドシート、Excelのような表形式のシートです。kintoneやPlatioのように、フォームからアプリを作る過程でテーブルができるタイプではなく、最初にデータテーブルを定義して、そこにデータを書き込んでからアプリに発展させていきます。要は「Excel表をアプリにしていく」ということです。そのコンセプトを念頭に置かないと混乱のもとになるでしょう。

② ベータ版なのでバグや不具合が出てくる

これは仕方ありません。作成の途中で、何度か原因不明のエラーに陥ることがあります。特に日本語入力は不具合が多いです。列名やプロパティ名称などは、なるべく半角英数字を使用することをおすすめします。

それでは、実際にHoneycodeを使ってアプリを作っていく流れについて説明します。

【アプリ作成の4ステップ】

1. チームメンバーを加える

Honeycodeは、チームと呼ばれるグループ単位でアプリを共有します。チームメンバー全員が自身のメールアドレスを登録しHoneycodeのアカウントを取得することが必要です。最初は各アカウントにつき1チーム(自分の名前のチーム)が作られますが、組織でアプリを共有するには管理者が自分のチームにメンバーを招待して、各々がそれに参加したうえで、さらに作ったWorkbookをチームのメンバー宛にShareするという手順になります。これらの手続きはすべてメールアドレスベースで行う必要があり、メンバーの招待時もファイルの一括インポートなどはできずカンマ区切りで指定になる等、全体を通してメンバー管理や共有に関しては、やや手間がかかる印象を受けました。

チームメンバー追加

チームメンバー追加

2. ワークブックを作る

チームができたら、まずはアプリの土台となるWorkbookを作ります。新規のブックを作ることも、既存のCSVをインポートすることもできますし、19種類あるテンプレートから選ぶこともできます。ノーコードツールは概ねテンプレートをアレンジした方が初心者にとってアプリが作りやすいことが多いですが、Honeycodeに限っては新規で作る方がむしろ簡単です。

Workbookは仕様がほぼExcelやスプレッドシートと同じなので馴染みやすく、編集もしやすいでしょう。この点はkintoneに近いかもしれません(ただし、一部に独自の関数や数式が使われています)。1つのワークブック中に複数のテーブルを含めることができ、アプリ内のすべてのデータがワークブックに定義されるため、例えばアプリでデータを選択式にするリストボックス(PickListといいます)を作りたいときにはその選択項目を保持したテーブルが作成されることになります。

Workbook作成画面

Workbook作成画面

テンプレート選択

テンプレート選択

3. アプリを作る

ワークブックのデータが揃ったら、メニューにあるBuild Appというボタンを押せばアプリ作成画面に進みます。ここでウィザードを使うと、指示に沿って進めていくだけで半自動にてオブジェクトやテーブルが配置され、簡単にアプリが出来上がるのがHoneycodeのすごい点です。今回は簡単な営業日報アプリを作ってみたのですが、一覧画面、詳細画面、日報登録画面の3点を自動で仕上げてくれました。画面レイアウトや不必要なパーツの削除など、多少手直ししただけで、もうアプリが完成です。時間にして僅か5分足らずだったでしょうか。画面デザインの際にテーブルのデータも並んで参照されるのでアレンジもしやすかったです。また、「Automation」と呼ばれるメール通知設定などの自動化設定もまとまっていて簡単でした。ただ、例えば特定のデータだけフィルタをかけた別の画面を作るなど、少し応用的なシーンを設定するとなると、慣れない数式や関数を設定する必要があり、少し難しいかもしれません。

営業日報のメインテーブル

営業日報のメインテーブル

アプリ作成画面1

アプリ作成画面1

アプリ作成画面2

アプリ作成画面2

アプリ作成画面3

アプリ作成画面3

アプリ作成画面4

アプリ作成画面4

4. 共有する

作ったアプリの挙動はすぐにブラウザ内でプレビューできるので便利です。動作を確認したら、チームメンバーにアプリをシェアすることで共有できます。スマホ(iPhone)とタブレット(iPad)からアクセスしてみました。タブレットの画面サイズには対応していないのか、12インチiPadの画面いっぱいにフィットしませんでしたが、動作はスムーズで問題ありませんでした。

数式を入れて作った、特定の条件を満たすと管理者に通知される機能も正常に動いており、一安心です。アプリを修正しても利用者は更新ボタンを押したりログインし直したりする必要なく、リアルタイムで修正が反映されるところに感心しました。

スマホでの共有アプリ一覧

スマホでの共有アプリ一覧

営業日報アプリ一覧画面

営業日報アプリ一覧画面

管理者通知テスト画面

管理者通知テスト画面

一通り触ってみて、最初はWorkbookありきのコンセプトの理解に戸惑い時間を取られましたが、結果的に1日でアプリを形にすることができました。ウィザードに限らず、ヘルプ、チュートリアルはかなり充実している他、サジェスチョンなども随所でみられ親切でした。

【Honeycodeの難易度】誰でも作れるか?どのレベルの知識が必要?

単純なアプリを作るのであれば、手順を理解すれば誰でも短時間で作成できるでしょう。しかし、アプリをブラッシュアップするためには、Excel関数と数式が理解できるレベルの知識、あとはデータベース基礎知識が必要という印象です。

4. Honeycodeを利用するメリット

Honeycodeを使う代表的な6つのメリットをご紹介します。

簡単に始められる

Honeycodeは、プログラミングが不要です。コードを記述しなくても、モバイル・ウェブアプリケーションが構築できます。Honeycode Builderにアクセスしてアカウントを作成すれば、簡単に始められます。ワークブック、テーブル、本体であるアプリが作成できるだけではなく、すぐに使用することも可能です。

また、ユーザーとアプリを共有することやスマートフォンからアプリをダウンロードして開発することも可能です。スマートフォンから開発・使用できるノーコードツールはあまりないので、Honeycodeの大きなメリットといえるでしょう。

無料で試すことができる

BASICプランなら月額料金は0円です。Workbook1冊あたり2,500行、メンバー数も最大20名までであれば無料で利用できます。もし、容量を追加したい場合は、PLUS、PROなどの有料版にアップグレードすることも可能です。

作成や修正がスピーディーに反映できる

Honeycodeでは、アプリ作成や修正がスピーディーに反映されます。ビルダーとテーブルが連携されているので、どちらかを変更したら、もう片方にも反映され、保守性の高い開発ができます。
また、自分のチームに即座に共有できる点も魅力です。チームメンバーが必要なデータのみを見られるように、Honeycodeのカスタムアプリを設定することもできます。

モバイルに対応できる

Honeycodeは、ウェブブラウザはもちろんのこと、モバイルデバイス用のカスタムHoneycodeアプリも構築できAppStoreからもダウンロードすることが可能です。モバイル対応により、各チームメンバーが必要なときにモバイルアプリを活用できるようになるため、今までは紙で運用していた業務をモバイルアプリに変更することで業務効率化にもつながるでしょう。

データベース構築が不要

Honeycodeは、データがスプレッドシートで完結します。通常のアプリ開発で必要とされるようなデータベースの構築をする必要がありません。

AWSのサービスと統合

HoneycodeはAWS(アマゾンウェブサービス)の1つです。そのため様々なAWSのサービスと統合されているのもHoneycodeならではの強みです。同じAWS内となるため他サービスと繋げるための複雑な設定等は必要なく、簡単に統合をすることができます。
また、AWSだけではなく「Marketo」「SalesForce」などその他の何百万ものアプリケーションSaaSアプリケーションとの間で、データを双方向に移動させ、ワークフローを設定することも可能です。これにより様々なシステムを導入している場合でもそれらを繋げながらより作業を効率化することが可能です。

5. Honeycodeのデメリット

Honeycodeには多くのメリットがありますが、デメリットもあるので注意が必要です。あらかじめデメリットを把握したうえで利用しましょう。

自分好みのデザインにすることは難しい

Honeycodeでは、必要最小限のUIで洗練されたビジュアルのアプリケーションを作れます。ただし、他の一部のノーコードサービスで見られるようなJavaScriptを用いた画面を作ることはできません。アニメーションのようなこだわったUIでアプリを作りたい場合は、シンプルさがネックとなってしまいます。現時点では、自分好みのデザインにするのは難しいと考えておきましょう。

日本語非対応

操作画面、ドキュメント共に全て英語で書かれています。日本語には対応していないため、英語が苦手な場合は、翻訳ツールなどを利用して作業を進めるしかありません。なお、操作画面やドキュメントは全て英語表記ですが、日本語のデータ入力は可能です。

日本語の学習方法がほとんどない

日本語非対応ということもあり、日本語で書かれた学習方法がほとんどないという現状があります。疑問点や不明なことが起きても、日本語で解説されたガイドやヘルプセンターがないため、情報を得るために時間がかかってしまう点がネックになってしまいます。

6. Honeycodeを活用できるケースとは

Honeycodeの魅力は、アプリを作るノウハウを持っていない人でも短期間でアプリを作成できる点です。実際にどのように活用できるのか、2つのケースをご紹介します。

従業員のシフト入力

Honeycodeは、スタッフのシフト管理アプリなどに活用できます。スタッフがそれぞれ自分のパソコンやスマホから希望のシフトを時間単位で入力することが可能です。シフトの管理者は、シフトの調整と決定ができ、アプリ上でスタッフにシフトの通知もできます。給料の計算や、オートメーションを用いたシフトのリマインド機能も追加可能です。

棚卸のデータ入力

Honeycodeを利用して、商品の棚卸を行うことも可能です。あらかじめレジの売り上げデータを元にし、商品の在庫をJANコードと併せてテーブルに取り込んでおき、在庫表を作成します。スタッフ向けのスマートフォンには、JANコードの読み込みアプリとHoneycodeアプリをダウンロードします。スタッフが店頭の商品をJANコードの読み込みアプリでカウントして、店頭在庫をテーブルに登録すると、データ上の在庫と実際の在庫の照合がHoneycode上で行われます。管理者は、テーブルを閲覧すれば簡単に誤差を見つけることが可能です。

7. Platioとの比較

いくつかの点で、Honeycodeの機能/使いやすさの評価をわかりやすくするために、同様にノーコードでモバイルアプリを作成できるツールである「Platio(プラティオ)」と比較してみました。

テンプレートの充実度=Platio

Platioが日本企業向けの現場業務ですぐに役立つテンプレートを100種類以上も備えているのに対し、Honeycodeのテンプレートは19種類で、グローバル企業の文化が基準になったものが多い(例えば勤怠管理のアプリは「週払い制」向けにデザインされている)。

アプリの作りやすさ=引き分け

Platioは、最初にワークシートを定義しなくても直感的なGUI配置でアプリができ、その後の設定やアレンジも、IT系の知識が乏しい初心者にも易しい。
対してHoneycodeは、Worksheetにデータを設定する手間はあるが、データさえ作ってしまえばアプリの完成までは自動的に速く進めることができる。ただし条件付きフィールドやフィルタリングなど応用技術は多少数式の知識が必要。

多様性/ビジュアル=Platio

Platioは、「写真」「動画」「位置情報」「バーコード」「IoT機器」などアプリに多様なデータを含められるのに対し、Honeycodeは(現状)Workbookのセル内のデータ(テキスト情報と色変化)のみのため、視覚的効果と多様性は乏しい。

アプリへのアクセス性=引き分け

Honeycodeのチームメンバー登録、招待、アプリの公開までの流れはやや手間がかかる。また、アプリ作成環境とユーザー利用場所の区別がない。反面、アプリの仕様変更後、アプリがリアルタイムでアップデートするところがよい。

Platioはアプリの作成環境へのアクセスは分離しており、アプリ内のユーザー管理も独立しているためスッキリ制御できる。しかしアプリが仕様変更されると、基本は手動でのアップデートが必要。

サポート=Platio

Platioは、国産のノーコードツールの為、日本語にも英語にも対応しています。お客様専用ページやヘルプセンターもあり、安心して利用できます。ヘルプセンターには「よくあるご質問」や「ガイド」もあるため、わからないことがあってもすぐに調べられる点が魅力です。ホームページでは、様々な業種の導入事例を見ることもできるので、活用方法の参考にするのも良いでしょう。

また、Platioはデロイト トーマツ ミック経済研究所 ミックITレポート2022年3月号「B2BノーコードモバイルAP作成ツール市場」において 4つのカテゴリで市場シェアNo.1を獲得しています。

その他、「SaaS・IT製品比較サイト ITreview」で口コミ4.2を獲得するなど高い評価を得ています。

8. まとめ

この記事ではAmazonのノーコードツールであるHoneycodeを特集しました。使ってみた印象としては、Excel/スプレッドシートに相当な敬意を払いつつも、脱Excel/スプレッドシートによる業務効率化を意識したツールだということです。実際、データ表(Workbook)からアプリへのスピーディーな変換と成形機能は素晴らしいものでした。

現状はベータ版であることと、日本語非対応であることからも、日本企業で今すぐ役立つアプリを作ることは少し難しいかもしれません。しかし、本格的に日本でサービス展開されたら、課題管理表や勤務管理表などのシートを次々にアプリ化でき、業務効率化を強力に支援する便利ツールになる日も近いでしょう。

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Platio編集部 最終責任者:中野

著者画像 中野

2013年にアステリアに入社。制作からディレクションなどPlatioのWEB関連を担当をしています。

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