
全国各地で、シカやイノシシ、クマなどによる鳥獣被害が深刻化しています。農林水産省の発表によると、令和5年度の全国の野生鳥獣による農作物被害額は約164億円にのぼり※1、依然として高い水準で推移しています。
また、環境省の報告では、令和5年度のクマ類による人身被害は197件・218人に達し、月別統計がある平成18年度以降で最多を記録しました※2。
こうした状況を受け、政府は被害防止に向けた対策を強化しています。鳥獣被害防止総合対策交付金の拡充や専門職員の配置など、人員・資金両面での支援策を拡大しており※3、自治体の現場対応力向上が求められています。
しかし、現場の報告業務は依然として紙やFAXに依存しており、報告の遅延や情報の重複、確認作業の煩雑さが課題です。そして職員や猟友会の負担が大きいのが実情です。
こうした中で注目されているのが、スマートフォンを活用した、「鳥獣捕獲報告アプリ」や「鳥獣害共有アプリ」などのモバイルアプリの導入です。
現場から写真や位置情報を添えて即時に報告できるようにすることで、情報共有スピードの向上、被害傾向の把握、共有作業の効率化を同時に実現できます。
さらに近年は、ノーコードツールを使い、専門知識がなくても職員自身が業務に合わせたアプリを構築する自治体も増えています。
本記事では、熊本県人吉市と秋田県仙北市の「鳥獣害対策DX」の取り組みを紹介します。

熊本県南部に位置する人吉市では、シカやイノシシなどによる農林業被害が深刻化しており、捕獲実施隊による害獣駆除が行われています。捕獲実績は隊員が報告する「報告書・写真・駆除証明部位(尻尾など)」の3点を班長が取りまとめ、月1回、市役所へ提出。職員がこれらを確認後、データ化・集計し、国や県へ報告しています。
しかし、紙の報告では、報告書を作成する隊員にとっても、内容を確認する職員にとっても事務作業の負担が大きいのが現状でした。そこで、人吉市では位置情報や鳥獣の写真も含めて報告できる「鳥獣捕獲報告アプリ」を作成し、報告および集計作業の負担削減に成功しています。


現在は実証運用を重ねながら2026年4月の本格運用を目指しています。
事例詳細はこちらでご覧いただけます。
秋田県仙北市では、近年クマの出没が急増しており、被害報告の集約や緊急銃猟による対策が急務となっていました。そこで、すでに市で内製・運用していた「被災状況報告アプリ」に現場での緊急銃猟の指針やチェックリストなどの資料を確認できる機能を追加しました。対策の必要性を認識してすぐにアプリの改修を実施し、数時間後には新機能を備えたアプリが完成。
翌日には現場での運用を開始し、職員がスマートフォン上で指針や安全手順を確認できる体制を整えました。

緊急銃猟のガイドラインやマニュアル、チェックリストをスマートフォン上で確認できるようになったことで、現場の職員がその場で手順やルールを参照できるようになりました。また、スマートフォンで手軽に必要な資料をいつでも参照できるため、紙で資料を持ち歩く必要がなくなり、現場での判断スピードと安全性が大幅に向上しました。
さらに、鳥獣被害の共有・記録・分析をデジタルで行えるようにアプリ内に「有害鳥獣被害報告」機能も実装し、試験運用を開始しました。これにより、現場からの報告内容をリアルタイムで確認できるようになり、被害状況の把握が迅速に行えるようになりました。
報告データは自動的に項目ごとに整理されて保存され、職員間での情報共有や発生傾向の分析も容易になりました。

鳥獣被害対策における報告業務のデジタル化は、自治体DXの中でも現場密着型の取り組みです。これまでは紙帳票やFAXでの報告が中心でしたが、限られた人員で迅速な判断と対応を求められる自治体において、現場に合ったデジタルツールを導入する必要性が高まっています。
人吉市と仙北市で使われているアプリはいずれも、ノーコードツール「Platio(プラティオ)」で作成されたものです。Platioは、プログラミングの専門知識がなくても、自治体職員自身が現場の業務に合わせてアプリを作成・修正できる点が特長です。
直感的にアプリを作成できるため、仙北市のようにわずか数時間で現場の用途に合わせた運用を開始することも可能です。必要な機能をすぐに搭載し、利用を開始できるスピードは、迅速かつ臨機応変な現場対応を求められる自治体にとって大きな利点といえます。
また、Platioで作成したアプリはオフライン対応機能を備えており、通信環境が不安定な場所でも入力や報告が可能です。人吉市のように、山林や国有林などネット接続が難しい現場でも、確実に情報を共有できる点が高く評価されています。
さらに、アプリのカスタマイズや修正にも柔軟かつ簡単に対応できる点も特長です。国の指針や運用体制が変わっても柔軟にアプリを修正でき、自治体ごとの業務内容に合わせたカスタマイズにも対応できます。
たとえば人吉市では「捕獲個体の識別番号」や「国有林管理項目」など、地域独自の報告項目を設けています。システムに現場を合わせるのではなく、現場の実情にシステムを合わせる運用が可能です。
鳥獣被害対策のように迅速な判断と情報共有が求められる一方で、地域ごとに報告内容も運用も異なる業務では、自治体が自らの業務にあったシステムをスピーディーに作り、運用に応じて柔軟に修正していける仕組みが欠かせません。
こうした柔軟な仕組みを支える手段として、ノーコードの活用が各地で広がりつつあります。現場の課題に即したアプリを自ら作成し、運用を重ねながら改善していく取り組みが、持続的な自治体DXを支えています。
こうした現場発の取り組みを支援するプラットフォーム、Platioは初期費用0円/月額2万円台の低価格から導入でき、現場業務に合わせたアプリを短期間で構築できます。
詳細はこちらよりご覧ください。
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